今回は、FXで借金を背負い、自己破産に至った55歳の女性・佐藤美和さん(仮名)の体験談をご紹介します🧓
夫を亡くし、大きな喪失感と不安の中で「これからの生活を支える資金を少しでも増やしたい」と思い、始めたのがFXだったそうです。
最初は「家にいながら稼げる」「スマホでできる」と思っていた投資もいつの間にか「証拠金が足りない」「もう少し入れないとポジションが飛ぶ」と追い込まれ。
ついには借金を重ね、生活自体が壊れてしまう状況に…。
今回は、その経緯を赤裸々に語っていただきました📘
「亡くなった夫の分まで頑張らないと」って、焦ってました
──FXを始めたきっかけから聞かせていただけますか?
佐藤さん:「夫が急に倒れて亡くなったのが3年前です。
当時は頭が真っ白で、悲しみもあったけど“今後どう生きていこう”って現実の問題がすぐにのしかかってきました。
保険金が少し入って、それで当面の生活は大丈夫だったんですけど、年金だけで暮らしていけるかって不安が拭えなくて」
──保険金はどれくらいの金額だったんでしょうか?
佐藤さん:「全部で1,200万円くらいでした。
それを“これからの私の人生の土台”にしようと決めて、最初は定期預金とか個人年金も検討してたんです。
でも金利が低すぎて、全然増えない。それでスマホで調べてるうちに“FXなら年利10%以上狙える”みたいな情報を見て、ふらっと口座を開いてしまいました😓」
最初は数千円の利益が出て、「これで生活できるかも」って思った
──実際に取引してみて、最初の印象はどうでしたか?
佐藤さん:「びっくりするくらい簡単にお金が動くんですよ。
ドル円で買いポジションを持って、翌朝見たらプラス3,000円とかになってて。
“わ、寝てる間にお金が増えた!”って、正直嬉しかったですね📈
そのときは“これならいけるかも”って、本気で思ってました」
──その段階でリスクについてはどう考えてましたか?
佐藤さん:「全然考えてなかったです。“スワップもつくし、マイナスになるわけがない”ってどこかで思ってたんですよ。
あと、SNSで“主婦でも月10万稼いでます”とか、キラキラした投稿を見ちゃって、焦りが生まれてたかもしれません。
“私も何もしないで終わるのは嫌だ”って」
レバレッジ?ロスカット?意味もわからないまま大金を動かしてました
──その後、資金を増やしていったんですか?
佐藤さん:「はい、最初は10万円でやってたんですけど。
“もっと大きく張れば利益も大きくなる”って気持ちが強くなって。
保険金から50万円、100万円と移していきました。気がついたら、300万円以上をFX口座に入れてましたね😓」
──取引は順調でしたか?
佐藤さん:「ある日を境に崩れました。
ポンド円に手を出してからです。ボラティリティが大きいって意味も分からずに、動きが激しい=稼げるって勘違いして。
一晩で含み損が30万円近く膨らんで……そのとき“証拠金不足です”って表示が出て、すごく焦ったんです」
「もう少し証拠金を足せば大丈夫」と思って借金を始めました
──そこから借金をしてしまった経緯を教えて下さい
佐藤さん:「最初は、“あと10万円あればロスカットされない”っていう状況だったんです。
だからクレジットカードのキャッシング枠を使いました。“すぐ取り返せる”って根拠のない自信があって。
それが、取り返せなくて。またマイナス。そうすると“次こそ”ってなって、今度は消費者金融にも手を出してしまったんです💸」
──何社くらいから借りましたか?
佐藤さん:「合計で5社。気づいたら、借入総額が320万円を超えてて。
返済日が毎週のようにやってくる。利息だけで追いつかない。
でもFXをやめられなかったんです。“負けを取り戻すには続けるしかない”って、本気で思ってました」
ある朝、証券口座も借金残高も“ゼロ”になった現実を見て崩れました
──決定的な転機になった出来事は?
佐藤さん:「最後の取引で、ロスカットされました。
ポジションが消えて、残高がゼロ。追証も出ました。
そのとき、借金の残高と合わせて“自分はもう、終わったな”って感じました。
スマホを床に落として、しばらく動けなかったんです」
弁護士に電話した日、「もう十分です」と涙が止まらなかった
──自己破産を決めたのはいつですか?
佐藤さん:「督促状が毎日届いて、家のポストを開けるのも怖くなってた時期です
泣きながらネットで“借金 弁護士 無料相談”って調べて。
そこで“生活を立て直すことが優先ですよ”って言われたとき、ポロポロ泣いてしまいました📩」
──家族や友人には?
佐藤さん:「誰にも言ってませんでした。
“夫の保険金で投資して借金して破産した”なんて、恥ずかしすぎて…。
誰かに相談していれば、ここまでひどくならなかったかもしれません」
今の私が伝えたいのは「始めるより、やめる勇気の方が大切だった」
──もし当時の自分にアドバイスできるとしたら、何を言いたいですか?
佐藤さん:「“すぐやめなさい”って言います。
FXって、本当に知識も経験も必要な世界なんです。
“簡単に稼げる”と思ってた自分が甘すぎた。
お金を増やしたくて始めたのに、命の次に大事だったお金を失って。
心まで壊してしまった自分が情けないですね」
まとめ|保険金は“希望”のはずだった。でも、無知と欲で壊れてしまった
佐藤さんの体験は、“お金を増やしたい”という誰もが抱く気持ちが
“間違った方向”に進んでしまったとき、どこまで自分を追い込むかを教えてくれます。
「保険金を使ってでも、自立したかったんです。でもFXは“自立する手段”じゃなくて、“孤立する道”だった」
投資を否定する話ではありません。
ただ、知らないまま飛び込む市場は、“育てる場”ではなく“試される場”です。
特に、生活資金や遺されたお金は「守る」前提で扱ってほしい。
増やす前に、壊さないこと。
その覚悟がなければ、FXはあまりに過酷です📘