今回は、定年退職後に「自分の力で年金を作ろう」と考え、退職金2,000万円を元手にFXに挑戦した59歳の男性・山本哲也さん(仮名)の体験を紹介します🧓
経済ニュースで「資産運用しないと老後がもたない」と言われ続けていた時代背景の中、自分も何か始めなきゃと焦りを感じていたという山本さん。
しかしその思いとは裏腹に、始めたFXは次第に生活を侵食し、半年後には手元のお金がすべて消えていました。
今回はその経緯を、包み隠さず話していただきました。
FXを始めようとしている人、退職後の資産形成を考えている人にとって、今読む意味のある記録になるはずです📘
最初は「毎月5万円増えたら年金代わりになる」と思ってました
──山本さん、FXを始めたきっかけから教えて下さい
山本さん:「テレビでも雑誌でも“年金だけじゃ暮らせない”って言われてて、正直すごく焦ってました。
当時、定年退職したばかりで2,000万円くらい退職金を受け取ったんですけど、これをどう活かすかって考えたときに、
“月に5万円くらい稼げたら、ゆるく年金代わりにできるんじゃないか”って思ってたんですよね😅」
──投資経験はあったんですか?
山本さん:「株はちょっとだけやったことあったんですが、FXは完全に初めてでした。
でもSNSとかYouTubeで『主婦でも10万円稼げた』『スマホで簡単』みたいなのをたくさん見てて、自分にもできるんじゃないかって思ってしまったんです」
勝てた最初の3週間で「これいける」と完全に勘違いした
──最初は順調だったと?
山本さん:「最初の3週間で、8万円くらい利益が出たんです。たまたま円高の流れに乗れたみたいで。
“え、FXってこんな簡単なの?”って思って、どんどんポジションの枚数を増やしていきました📈
今思えば、あの時点でもう冷静さを失ってましたね」
──具体的にどんなトレードをしてたんですか?
山本さん:「ドル円ばっかり触ってました。ニュースでアメリカの利上げとか見て、なんとなく“これは上がる”って感覚で買って。
テクニカル分析も軽くは見てたんですけど、結局は勘でやってたんでしょうね。“自分は賢い”って思ってたのが一番の落とし穴だったかもしれません」
相場が反転した日に「戻るはず」と耐えてしまった判断ミス
──転機になったのはどんな日だったんでしょうか
山本さん:「ある日、思いっきりドルが下がった日があって。ニュースでは“要人発言で市場が反応”って言ってましたけど、
自分は“どうせすぐ戻る”って信じ込んでました。そのまま含み損が100万円を超えたんです💥」
──そこでも損切りはしなかった?
山本さん:「できなかったですね。“損を確定したら本当に終わりだ”って思ってました。
だから、ポジションを持ち続けて、ナンピンまでして、結果としてさらに深く沈みました」
2,000万円が“いつの間にか”なくなっていた感覚でした
──退職金が全部なくなるまでの過程を教えて下さい
山本さん:「少しずつ減っていくんじゃないんですよ。ドンって落ちるんです。
ナンピンして、証拠金維持率が下がって、追証が来て、慌ててさらに入金して…その繰り返しでした💸
最終的に証券口座の残高が数千円になったとき、“あれ、2,000万どこ行ったんだろう”って感覚になりました」
──そのときの気持ちは?
山本さん:「正直、頭が真っ白でした。お金がなくなった実感が湧かなくて、ただ無言でモニターを見てましたね。
それまで“このお金で老後を乗り切る”って思ってたのが、全部消えたわけですから」
妻にも言えず「投資信託にしてる」と嘘をついてました
──ご家族にはいつ伝えたんですか?
山本さん:「最初は“投資信託を買った”って嘘をついてました。
毎月の収支を聞かれるたびに、資料をそれっぽく印刷してごまかしてました。でもある日、妻が通帳を見て気づいたんです」
──そのとき、どうなったんですか?
山本さん:「大喧嘩でした。“なんで相談してくれなかったの”って泣かれて、自分も何も言い返せませんでした。
一番辛かったのは、妻から“あなたってこんな人だったの?”って言われたこと。
FXで負けた以上に、自分の信用を全部失った感じがしました」
「やらなきゃよかった」と100回以上思いました
──今、振り返って一番後悔している点は?
山本さん:「簡単に稼げると思ってしまったことですね。
勝ってる人の発信ばかり見て、負けた人のリアルな声を聞かなかったんです。
今ならわかります。“簡単に稼げる”って思った時点で負けなんですよ」
──読者へのメッセージがあればお願いします
山本さん:「退職金って、人生で最後のまとまったお金です。
それを“増やす”より“守る”意識を持ってほしいですね。
SNSやYouTubeの派手な情報より、地味でも堅実な方法を選んだ方が、後悔は少ないと思います📢」
まとめ|FXは「学び」ではなく「奪われる経験」になることもある
山本さんの体験を聞いて、FXが“学べば勝てる”という甘い考えを簡単に壊す現実があると感じました。
人生の後半に差し掛かった時期だからこそ、「やり直しのきかないお金」の扱い方は慎重であるべきなんです。
「勝てるかもしれない」は「負けるかもしれない」と常にセットであるべきだった
もし今あなたが、“退職金を活かしたい”と考えてFXを始めようとしているなら、まず山本さんのような実例に触れ、“やらなかった未来”の重みも想像してみて下さい
大切なのは「始める勇気」ではなく、「守る覚悟」なのかもしれません📘