今回は「FXで人生が終わった人たち」の中でも、特に“家庭も仕事も維持しながら深夜トレードに挑んだ末に心身ともに崩れた”というリアルを抱える女性、松岡美月さん(仮名・39歳)にお話を聞かせて頂きました。
彼女は当時、仕事と子育てを両立しながら、副収入の道としてFXに興味を持ち、独学で始めたそうです。
ただ、そこには誰もが想像するような「楽して稼げる未来」ではなく、毎晩のチャート監視、短時間睡眠、感情的なエントリーの繰り返し、そして生活の崩壊が待っていたとのことです。
FXは誰にでも門戸が開かれている投資手法ですが、軽い気持ちで入ってしまったとき、何を失う可能性があるのか──その現実を、彼女の口からじっくり語って頂きました。
FXを始めたきっかけは「夜しか時間がなかったから」
──最初にお聞きします。どうしてFXを選んだんですか?
「当時は本業もありましたし、子どももまだ小学生だったんですけど、離婚して母子家庭になったばかりで生活がかなり厳しかったんですよね💧昼間は仕事に行ってるし、夜は家事でバタバタしてました。でも、子どもが寝た後なら2〜3時間くらい自分の時間が取れたんです」
──なるほど、時間の制約がある中で「夜でもできる副収入」として選んだわけですね。
「そうです。最初はアンケートサイトとかポイントサイトとかもやってたんですけど、数十円とか数百円の世界で…。それじゃ全然追いつかないんですよね。そんな時にTwitterで“夜中の2時間で月収プラス20万”とか書いてあるFXアカウントを見かけて。そこから興味を持っちゃったんです📱」
資金は生活費の残りから…最初は順調に見えた
──最初に使った資金はどれくらいでしたか?
「10万円から始めました。生活費の残りというか、ギリギリの中から捻出したって感じです。でも、1万円くらいすぐ増えたんですよね。たまたま方向が合ってただけなんですけど…」
──ああ、最初に利益が出ると“いける”って思っちゃいますよね。
「完全にそうでした。私、調子に乗って“もっと資金があれば倍にできる”と思っちゃったんです。そこからは毎月の生活費から1〜2万円削って、ちょっとずつ追加入金していって…。最終的にはFX用に50万円は使ってました😓」
毎晩チャートと睨めっこ、睡眠は1日3時間
──生活への影響って出てましたか?
「めちゃくちゃ出てました。寝るのが深夜2時とか3時で、朝6時には起きて子どものお弁当作って、仕事行って、帰ってきたら夕飯作って…。でもチャートが気になって仕方なくて、ずっとスマホ見てたんです📉」
──睡眠時間が削られるって、相当キツいですよね…。
「昼間、意識が飛びそうな感覚があったり、子どもの話が頭に入ってこなかったり…。今思えば完全に“依存状態”だったと思います。でも『あとちょっとで損を取り戻せるかも』って気持ちが強くて、やめられなかったんです」
強制ロスカットで貯金が一瞬でゼロに…
──実際に「終わった」と感じた瞬間っていつでしたか?
「ドル円が急変動した日です。逆張りで入ってたポジションが一気に吹き飛んで、証拠金維持率が下回って強制ロスカットされました。チャート見てたのに、指が動かなくて…“損切りできなかった”んです。あの瞬間、現実感なかったです」
──そのときの損失額って…
「累計で130万円くらいですね。それまでに入れた金額全部、溶けました…。貯金ゼロ、家賃の引き落としすら怪しくなって…。正直、あの週は人生で一番落ち込みました😢」
その後、心も体も崩れていった
──FX以外の生活にどう影響しましたか?
「眠れなくなりました。チャートが夢に出てくるくらいで…。あと、家計簿を見るのが怖くなって、現実から逃げるようになって…。うつっぽい感じでした。病院で“睡眠障害と軽度の適応障害”って診断されて💊」
──お子さんとの関係にも影響はありましたか?
「あります…。『ママいつもスマホばっかり見てる』って言われたときは泣きそうになりました。結局、学童にもお金が払えなくなって、親に助けてもらうことになりました。すごく情けなかったです」
今だから言えること
──今、過去の自分に声をかけるなら、何と言いますか?
「“お金で人生は変えられるけど、壊れるスピードの方が速い”って伝えたいです。特に、感情が不安定なときにFXをやるのは危険すぎる…。私みたいな性格の人は、そもそも短期トレードに向いてなかったんだと思います」
──最後に、これからFXを始めようとしている人に伝えたいことはありますか?
「もし“今の生活を変えたい”って思ってるなら、まずはちゃんとした知識を身につけて、生活に余裕ができてから始めて欲しいです。借金をしてまでやるようなものじゃないし、自分と大切な人を壊すリスクがあるんだってことを知ってからでも遅くないと思います💬」
まとめ|「儲けたい」気持ちより「壊さない」意識を持つ
今回のインタビューで強く印象に残ったのは、松岡さんが「最初は“家計を助けたい”という優しい気持ちから始めた」という点です。
それがいつの間にか、“損を取り戻す”というプレッシャーに変わり、生活全体を圧迫してしまったと語ってくれました。
FXは確かに、レバレッジを効かせれば短期間で資金を増やせる可能性もあります。
でも、その裏側にある「生活リズムの崩壊」や「精神的な消耗」、そして「家庭や信用の喪失」は、決して見過ごしていいものではありません。
今から始めようとしている人には、「自分は絶対に大丈夫」と思い込まずに、失敗した人の声にこそ耳を傾けてほしいと感じました。
どうか、無理のない形で、自分も周りも守りながら進んで下さい📘