今回は、40歳の小島貴之さん(仮名)が、子どもの入学金を“倍にして返すつもり”でFXを始め、
損切りできず全額溶かしてしまったという実体験を語って下さいました📱
大切な家族のために、という想いから始めた行動が、取り返しのつかない現実を生んでしまった。
“最初の損切りができていたら”という後悔と、“家族に言えなかった自分”への葛藤がにじむ、静かな言葉の数々──
この記事が、同じ道を踏もうとしている誰かの踏みとどまるきっかけになればと思います
最初は「入学金をちょっと増やす」くらいのつもりだったんです
──小島さん、FXを始めたきっかけから聞かせて下さい
小島さん:「うち、子どもが今年中学受験だったんですよ。
学費、入学金、制服代、交通費、全部合わせると軽く50万円以上かかってて。
そのときにちょうど賞与が入って、“これを少し増やして返せたら楽じゃない?”って思っちゃったんです😅」
──それをFXで実現しようと?
小島さん:「はい、“短期で数万円増えればいい”くらいの軽い気持ちだったんです。
友人が“最近FXで副収入あるよ”って言ってて、少し前から興味はあったんですよね。
それで、こっそりスマホにアプリを入れて、初めての口座を開設しました」
最初の2日で+1万円。「あ、これならいける」と思った瞬間でした
──初めてのトレードはどうでしたか?
小島さん:「ドル円でしたね。1ロットだけで、小さく入ったんですけど、
2日目で1万円ちょっと勝てたんですよ。“え?こんなに簡単なの?”ってビックリしました。
“これ3回繰り返したら3万円?入学金いけるやん”って、気持ちがどんどん前のめりになってました📈」
──まだその時点では冷静でしたか?
小島さん:「最初のうちは、チャートを見てる時間も少なかったし、夕食の後にサクッと触るくらいでした。
でも、勝ちが続いたことで、急に“もっと稼げるんじゃないか”って欲が出てきてしまって…。
あとはもう、自分で歯止めがきかなくなってました」
含み損が増えるたび「もう少しで戻る」と信じていました
──どこから状況が変わっていったんでしょう?
小島さん:「ポンド円を触った日ですね。すごく値動きが激しくて、最初にちょっと勝ったあとで、下がり始めたんです。
でも“すぐ戻るだろう”って思ってそのまま保持してしまって、そこから一気に含み損が膨らみました📉」
──そのとき、損切りは考えなかったんですか?
小島さん:「“いや、今切ったら4万円の損失。あと3円戻せばプラスになる”って、勝手に頭の中でシミュレーションしてました。
現実を見てなかったんです。“損切り”って言葉は知ってたけど、“自分はまだそこまで追い込まれてない”って思い込んでたんですね。
実際は、もうロスカット寸前でしたけど」
「あれ、ゼロになってる…」って声に出してました
──その後、どうなりましたか?
小島さん:「ある日、夕飯食べて戻ってきてスマホ見たら、口座残高が“1,312円”になってました。
チャートが大きく下落して、一気にロスカットされたあとだったんですね。
“え?”って声が出て、思わず何度もログインし直しました。でも何度見ても残高は戻らなくて」
──その瞬間、どんな感情でしたか?
小島さん:「“どうしよう”しかなかったです。家族にバレてない。でも入学金がない
“今夜このまま何もなかった顔して過ごせるのか?”って、頭の中がぐるぐるしてて
情けなかったですね。ほんとに、情けなかったです」
妻に「振り込んだ?」って聞かれた時、心臓が止まりそうになりました
──その後、ご家族にはどう伝えたんですか?
小島さん:「最初は言えなかったんです。
“ちょっと手続きが遅れてて”とか、“窓口の受付が混んでて”とか、苦し紛れの嘘ばかり並べて。
でも3日後、妻に“もう学校から確認の連絡来たよ”って言われて、さすがに観念しました」
──そのとき、どう打ち明けたんですか?
小島さん:「“入学金、FXで使った”って一言だけ言いました。
妻はしばらく黙ってました。“なんで?”って一言だけ聞かれて、“増やして返すつもりだった”って…。
怒鳴られたり泣かれたりはなかったです。ただ、すごく冷たかったです。あの空気が一番つらかったですね😞」
キャッシングで支払った学費と、残ったのは「信用ゼロ」
──その後の対応はどうされたんでしょうか?
小島さん:「入学金は結局、キャッシングで工面しました。
毎月リボ払いが続いてて、まだ完済してません。月々の生活も少し苦しくなりました
それ以上に辛かったのは、信頼がゼロになったってことです。
何を言っても、妻から“また嘘じゃないの?”って返されるようになったのが本当にきつかったです」
まとめ|家族のお金は、増やす対象じゃなく守るものだった
小島さんの話を聞いて、“勝てばいい”“返せばバレない”という甘い見通しが、どれだけ重たい代償に繋がるかを実感しました。
最初はたった1万円の利益。
それが欲を呼び、感覚を狂わせ、気づいたときには「お金がない」だけじゃなく、「家族の信頼もない」状態になっていたと語る彼の声は、静かで重みがありました。
「勝ち負けじゃなくて、そもそも“手を出すべきじゃなかった”んですよね」
家族の生活や学費を“増やしたいから投資にまわす”という考えが、どれだけ危ういものか──
それを自分の経験として痛感した今、誰かに伝えたいと思ってくれたそうです。