今回は、37歳の野田弘さん(仮名)が、FXでの損失を取り返そうとして借金を繰り返し、
ナンピンを重ねた末に全ロットをロスカットされ、債務整理に追い込まれた体験を語って下さいました📘
始めたときは、ほんの数万円が数千円増えただけ。それが自信に変わって、“もっといける”と思ってしまった。
一番怖いのは、“自分なら大丈夫”と思い込む心だと語る野田さん。そのリアルな声をお届けします。
最初は1万円が1万7千円に。自分、天才じゃないかと思ったんです
──まず、FXを始めたきっかけから教えて下さい
野田さん:「会社の給料じゃどうしても貯金ができなくて、ちょっと副収入が欲しいなって思ってたんです。
そのときX(旧Twitter)で、FXで“スマホだけで月10万”っていう投稿をたまたま見かけて。
“自分も少しやってみるか”くらいの軽い気持ちでした📱」
──最初はどんな取引をしていたんですか?
野田さん:「国内口座でドル円を1ロットとかですね。最初に入れたのは1万円です
で、初日で2,500円勝ったんです。“え、これ時給いくらよ”って浮かれてましたね。
翌週には1万7千円まで増えて、“これで人生変わるかも”ってマジで思ってました。笑えますよね😅」
含み損が出てきたとき、初めて「やばい」ってなりました
──最初に負けが続いたタイミングはいつだったんですか?
野田さん:「3週間目くらいですかね。レンジ相場に入って、自分が買ったら下がる、売ったら上がる、みたいな感じになって。
“これおかしいだろ”って思いながらも、握ってしまってたんですよね。
含み損が1万円、2万円って増えていって、“戻るまで耐えればいい”って、完全に損切りできなくなってました📉」
──そのとき、どんな気持ちでしたか?
野田さん:「負けたくない、っていうより、“ここで損を確定したら自分が間違ってたって認めることになる”って思っちゃってました。
で、気づいたらポジション増やしてて、いわゆるナンピンですね。“もうちょっと下で買い増せば平均取得単価下がるし、戻れば勝てる”って」
クレカのキャッシングを使ったのが地獄の入口でした
──資金が尽きたあと、どう対応したんですか?
野田さん:「普通に生活費削ったり、ちょっと実家から“出張費足りなくて…”とか言って3万借りたりして。
でもそれでも足りなくなって、クレカのキャッシング枠を使い始めたんです。5万、10万、あっという間でした。
“利息? まあ月500円くらいだろ”って思ってたんですけど、実際は地獄でしたね💸」
──そこからの負け方はどんな感じでしたか?
野田さん:「完全に“ギャンブル脳”になってました。
負けて、借金して、もう一発で取り返そうとロットを増やして、負けて、また借金して──の繰り返しです。
“今だけやれば勝てるはず”って感覚が、止まらないんです」
ロスカットされた朝、「残高0円」を見て放心しました
──最終的なロスカットの場面を教えてもらえますか?
野田さん:「海外口座に30万円入れて、大きめのロット張ってたんですけど。
夜中に指標発表があったらしくて、一瞬で相場が動いたらしくて…朝起きたらスマホに“強制決済完了”って通知が来てました。
ログインしたら、証拠金0円、取引履歴“ロスカット”って並んでて、頭が真っ白になりました📉」
──そのとき、どんな感情でしたか?
野田さん:「“え?”って小さい声出して、10分間スマホ見たまま動けなかったです
なんで?どうして?俺なにしてんだ?って、感情が一気に溢れてきて、最終的に声も出せなくなりました。
30歳過ぎて、泣くことなんてないと思ってましたけど、あの朝は涙出ました」
督促状が毎日届いて、音が鳴るたびに心臓が止まりそうでした
──その後、借金の現実がどうなっていったんですか?
野田さん:「キャッシングやらカードローンやら全部で120万くらいになってて。
毎月の返済額が7万円とかに膨らんで、普通に給料だけじゃ払えなくなりました。
督促の電話も手紙も毎日届いて、“このままだと夜逃げかな”って本気で考えてました📬」
──誰かに相談はできましたか?
野田さん:「全然できなかったですね。“自分の責任”って思ってましたし、
恥ずかしいとかじゃなく、“人に言ったら終わる”って思い込んでた感じです。
でもある日、会社の帰り道で倒れそうになって、“もう無理だ”って思って、Googleで『借金 解決』って検索しました」
弁護士に会って「泣いてもいいよ」と言われた瞬間、崩れ落ちました
──債務整理を決断されたときのことを聞かせて下さい
野田さん:「弁護士事務所に行って、“FXで借金作りました”って言ったとき、相手の顔色が変わらなかったのが驚きで。
“あ、珍しくないんだな”ってちょっと安心してしまったんです。
“泣いてもいいですよ、今までよく頑張りましたね”って言われて、もうそこで号泣しました😭」
──その後、手続きはどうでしたか?
野田さん:「債務整理に切り替えて、支払いは月1万円台になりました。
信用情報は傷ついたけど、もう誰かに怯えて暮らす生活より全然マシです。
やっと眠れるようになった、って感じでした」
まとめ|“借金してまでやるFX”は、もう投資じゃなかった
野田さんの話を聞いて、“FXの損失より怖いのは、自分を正当化してしまう心”だと感じました。
最初は少しの利益でも、“勝てる気がする”と確信した瞬間から、気持ちは止まらなくなるものです。
「負けたくない。取り返したい。それだけが頭にあって、生活も命も見えてなかった」
FXはツールですが、使う人間の判断ひとつで命取りにもなります。
もし今“取り返したいから続ける”と感じているなら、それはもう投資じゃないです。
引くことが唯一の正解かもしれません📘