今回は、58歳の伊藤正さん(仮名)が語る“FXで全資金を失った実体験”をお届けします。
きっかけは職場の仲間からの何気ないひと言。「最近FXやってて、けっこういい感じなんだよ」
そんな一言から「自分もやってみようかな」と思い立ち、軽い気持ちで口座を開いたそうです。
しかし、ロスカットの仕組みも、含み損の心理も、何ひとつ理解しないまま取引を続けた結果、半年後には“強制ロスカットで資金ゼロ”という最悪の結末が訪れました。
「仲間がやってたから始めただけだったんです。まさかこんなことになるなんて思わなかったですよ…」
静かに語るその声の奥にある“後悔”と“教訓”を、ぜひじっくりと読んでみて下さい📘
仲間が儲かってるって聞いて「じゃあ自分も」って思っただけでした
──FXを始めたきっかけから教えて下さい
伊藤さん:「きっかけは、会社の仲間が“最近FXで毎月5万くらい利益出てる”って話してきたことでした。
画面を見せられて、残高が増えてるのを見て“え、こんなに儲かるの?”って思っちゃったんですよ。
もともと投資とか興味なかったんですけど、“スマホでできるし、やってみなよ”ってすすめられて。
“じゃあやってみるか”って感じで始めちゃいましたね😅」
──始めるとき、不安はなかったんですか?
伊藤さん:「最初はもう、完全に“楽して儲かるかも”ってノリでした。
証券会社のアプリもすごく見やすくて、クイック入金で簡単にお金入れられるし、“あれ?意外と簡単だな”って思ってたんです」
含み損って“戻るまで我慢するだけ”って感覚でしかなかったです
──実際の取引はどうだったんですか?
伊藤さん:「最初のうちは1万通貨とかで軽くドル円を買って、ちょっと利益が出て満足してました。
でも2週間くらい経ったあたりで、損益がマイナス5,000円になって、“おや?”って
その時に“含み損か。まぁ戻るまで待てばいいや”って、なんの根拠もないままポジションを持ち続けたんですよね」
──そのままどうなっていきましたか?
伊藤さん:「含み損が1万、2万って増えてって、“あーちょっと焦るな”と思いつつも
“戻るってみんな言ってるし”って勝手に思い込んで…
結局、10万円くらい含み損が出た時には、怖くてもうアプリも見れなくなってました📉」
ロスカットの説明は“読んだけどわからなかった”まま放置してました
──ロスカットについては理解していたんでしょうか?
伊藤さん:「一応、証券会社のサイトで“証拠金維持率”とか“ロスカットルール”って見たんですけど、
もうカタカナと数字ばっかりで、よくわからなかったんですよ。
“あーそういうのあるんだなー”くらいで、深く考えないまま放置してましたね😓」
──リスクについて考えることはなかったんですか?
伊藤さん:「自分では“少しぐらいマイナスでも耐えられる”って思ってたんですよね。
でも現実は違いました。
ある晩、アメリカの雇用統計の影響でドル円が急落して、朝起きたら“ロスカット執行”ってメールが来てて。
口座を開いたら、残高ゼロですよ。“あ、やっちまった”ってその時は本当に言葉が出ませんでした📩」
アプリの数字がゼロになって、頭の中も真っ白になった朝
──強制ロスカットが実行された瞬間のことを覚えていますか?
伊藤さん:「はい、あの朝は今でも忘れられません。
目覚ましより先に通知音が鳴って、寝ぼけながらスマホ開いたら
“〇月〇日 証拠金維持率低下によりロスカット執行”って文字があって、心臓がドクンってなりました。
アプリを開いたら、資産の合計が“0円”になってて、マイナスの記録だけが残ってるんですよ。
ほんの数日前までは50万くらいあったはずなのに……頭が真っ白になって、しばらく動けなかったです」
誰かのせいにしたかったけど、全部“自分で決めた”という事実が重かった
──その後、誰かに相談されたんですか?
伊藤さん:「いえ、正直誰にも言えなかったです。
仲間にすすめられて始めたとはいえ、全部自分で判断してやったわけですから。
“誰のせいにもできないな”って思ったときが一番辛かったですね」
──ご家族には…?
伊藤さん:「言えませんでした。貯金の一部だったとはいえ、大事にしてたお金ですから。
もし妻にバレたら…って考えたらゾッとしました。
何度も打ち明けようか迷ったんですけど、言い訳もできないし、黙ったままにしました😔」
「含み損に慣れる」と感覚が麻痺してくるんです、本当に
──今だからこそわかることってありますか?
伊藤さん:「含み損ってね、最初はすごく怖いんです。
でも毎日見てるうちに“まあこれくらい普通かな”って、麻痺してくるんですよ。
それが一番危ない状態なんだって、今なら思えます。
ロスカットされるって“運が悪かった”じゃなくて、“避けようと思えば避けられた”って話なんですよね」
まとめ|“すすめられた投資”でも、損をするのは“自分の金”なんです
伊藤さんの話を聞いていると、「誰かが稼いでいたから」「自分もできると思ったから」という軽い気持ちが、どれだけ深刻な結果を引き寄せるかが、痛いほど伝わってきます。
「含み損に耐えれば勝てる」なんて、幻想でしかなかったですね
投資って、仲間と話題にするのは簡単ですが、失敗したときに責任を取るのはいつだって“自分”なんです。
すすめられたから始めるより、自分でリスクを理解してから動く方がずっと大事なんだと思います📘