今回は、FXで損切りができず、気づけば数百万円の損失を抱えてしまった河合麻理さん(仮名・60歳)の体験を伺いました🧓
お金が減るのが怖い──その気持ちは誰にでもあると思います。
でもその怖さに向き合えないまま、含み損を放置し続けた結果、
「取り返せない現実」と「誰にも言えない孤独」に追い詰められてしまったという、リアルな声を聞かせていただきました。
投資は数字だけの話ではないんです。心が揺れて、身体が動かなくなって、やがて生活も変わっていく。
そんな“表には出ない失敗”に耳を傾けてもらえると嬉しいです📘
きっかけは「老後、少しでも自由なお金があったら」って気持ちでした
──まず、FXを始めた理由を教えて下さい
河合さん:「もともとは老後に備えて、少しずつ貯金していたんです。
でも60歳を迎えてみると、“このままじゃ足りないかもしれない”って不安が出てきて。
たまたまスマホで“FXなら自宅で収入を増やせる”って広告を見て、“少しだけならやってみようかな”と思って始めたんです📱」
──投資経験はありましたか?
河合さん:「まったくなかったです。NISAとか株とかも難しそうで手を出してなかったです。
でもFXは“初心者でもできる”“主婦でも10万円稼げた”って記事や動画がいっぱいあって
“ちょっとやってみるだけ”のつもりでしたね。最初は」
最初に数千円の利益が出て、「これなら続けられそう」って思ったんです
──はじめたての頃はどんな調子でしたか?
河合さん:「最初の1週間くらいは順調でした。1日数千円の利益が出て、“これを積み重ねていけばいいんだな”って思ってました。
ドル円で1ロットだけでやってて、少し値動きがあるだけで“増えた”って通知が来ると嬉しくて。
その時点では、“FXってこんなに簡単なんだ”って思ってましたね」
──リスクについてはどう見ていたのでしょう?
河合さん:「リスクっていう言葉は聞いてましたけど、正直ちゃんとは理解してませんでした。
“損切りが大事”って言葉も見かけたんですけど、“まだそんなに負けてないから大丈夫”って軽く考えてたんです」
最初に大きな含み損を見た日、「切る勇気」が持てませんでした
──損失が出始めたとき、どんな気持ちでしたか?
河合さん:「あれは2ヶ月目くらいだったと思います。
ポンド円に手を出したんですよ。“動きが大きい=儲かるチャンス”って勘違いして。
そしたら一気に逆行して、1日で5万円の含み損になってしまって。
そのとき、“このまま切ったら本当に負けになる”って思考になってしまって、損切りができなかったんです😢」
──そのままポジションは保有し続けた?
河合さん:「はい。“戻るかもしれない”って毎日画面を開いては閉じて…
少し戻っただけで“あと少しでトントンになる”って信じ続けて、気がついたら含み損が20万円を超えてて。
でも切れなかったんです。“ああ、あのとき切っておけば”って何度も思いましたけど
怖くて決済ボタンが押せませんでした」
損失が膨らむたびに、生活そのものが静かに壊れていきました
──その後、生活にどんな変化が出ましたか?
河合さん:「まず、眠れなくなりました
夜中に目が覚めてスマホのチャートを見て、また落ち込んで。朝になると体が重くて動けない。
ご飯の味もしなくなって、家事も手につかなくなっていきました。
友達と会う予定も“ちょっと体調悪くて”って断るようになって、誰にも会いたくなくなって。
気づいたら、外に出るのが怖くなってたんです。自分が壊れていってる感じがしてました」
最後に見た含み損370万円。ただ数字を見つめるだけで、何も感じられませんでした
──最終的に、どれくらいの損失になったんでしょうか?
河合さん:「口座に残ってた記録では、含み損が370万円。
ある朝、開いたらポジションは全部消えてて、“ロスカットされました”って通知だけ残ってました📩
その瞬間、何も感じませんでした。“ああ、終わったんだな”って、無感情でスマホを閉じて。
その日はカーテンも開けずに、ソファに座ったまま夕方まで動けませんでした」
誰にも言えなくて、自分を責める毎日が続きました
──家族や友人に相談したことは?
河合さん:「誰にも言えませんでした。
“こんなこと、誰にも言えない”って、毎日自分に言い聞かせて。
でも心の中では、“なんで私はこんなことになったんだろう”って、自分を責め続けてました。
“あのとき損切りしてれば”“そもそもFXなんかやらなければ”って。
そればっかり考えて、鏡を見るのも嫌になってました」
今思えば、損切りって“勇気”じゃなくて“自分を守る行動”だったんです
──もし、過去の自分に声をかけるとしたら何と言いますか?
河合さん:「“早く逃げて”って言いたいです。
損切りするって、負けることじゃないんですよね。“命綱を切る”んじゃなくて“命を守る”行動だったんです。
当時の私は、“含み損を見てる間はまだ希望がある”って信じてしまってたけど、
それは希望じゃなくて、“現実逃避”だったんだって今は分かります」
まとめ|「損を確定するのが怖い」その気持ちこそが、最大のリスクだった
河合さんの体験から伝わってくるのは、「損切りできない」の裏にある“人間らしさ”と、それがもたらす深い苦しみです。
「あのとき“損を受け入れる勇気”があったら、私はまだ自分を好きでいられたかもしれません」
FXは数字の世界ですが、そこにいるのは生きた“人”なんです。
数字が動けば、感情も動く。
含み損はただの数値じゃなくて、自分の“失敗の証拠”に見えてしまうこともあります。
だからこそ、損切りは“資金”だけじゃなく“心”を守る手段でもあると伝えたい。
今、同じようにポジションを閉じられずにいる人がいたら
「あなたが悪いんじゃない」
って言ってあげたいです📘